最近、一般入試での入学者を増やそうという動きが一部の大学でやっと出てきました。
関西学院大学では、2020年度に34.6%まで減少していた一般入試の割合が、2024年度には54.3%にまで増加したそうです。大学側が推薦入試よりも一般選抜の方が優秀な学生を確保できると判断したためと思われます。(運営上の理由もあると思いますが)
本来、推薦というのは、高校側が大学に対して、生徒の学力・人間性において自信をもって「推薦」するので入学を許可してください、という位置づけだったはずです。
しかし今や多くの高校が、評定さえ取れていれば「推薦」をし、一部の難関大学を除いて推薦制度は受験勉強をしたくない生徒の受け皿になっているようにも見えます。
そうはいっても評定が取れている生徒は学校の勉強を真面目にしているのだから優秀なはずだ、となりそうですが、実際にはそうとは限りません。高校によっては結構簡単に高い評定が取れてしまうようです。
2020年度から「主体的に学習に取り組む態度」という抽象的なものが成績に反映されるようになったことと絶対評価であることが相まって、大げさに言えば課題などを提出して、まじめな感じにしていれば昔とは違ってみんなが高い評価を取ることができるようになってしまっているのです。
(文部科学省は既に、評定のつけ方を見直し、「主体的に学習に取り組む態度」を評定に反映しないようにすることを検討し始めています。)
これでは一般入試の競争を勝ち上がった生徒との学力の差は歴然です。
ある大学では、推薦入試で入学した生徒の中退率が圧倒的に高いというデータがあるそうですが、これは当然の結果だと思います。実際、教え子の大学生からの、「推薦入試で入学した人は恐ろしく学力が低い」という声を頻繁に耳にします。
大学は勉強する所ですから、大学側も入学直前まで勉強して学力の高い生徒に入学してもらいたいはずなのですが、早い時期に学生を確保できるなどのメリットもあるため推薦入試が行なわれているわけです。
推薦入試を全否定するつもりはありませんが、一般入試でも合格可能性が十分ある学力を持った生徒を対象にした方がいいと思います。学力の低い生徒の入学が増えた結果、大学教育の質が下がって、まじめな学生が不利益を被ることになるということは避けてもらいたいものですね。