少し前に次のような話を聞きました。
●ある私立中学1年生クラスで行なった英語の小テストで、
He is a good baseball player.
を和訳する問題が出され、「彼は野球が上手です。」と答えた生徒がいました。
●この和訳を不正解にしたところ、その生徒の保護者が先生になぜ不正解なのかと詰め寄りました。
●これに対してその先生は、「授業で教えた和訳ではなく、入試では不正解とされるため」と説明したが保護者は納得していない。
大まかに言うと、このような内容でした。
この状況において、先生がこの答案を不正解にしたこと自体に問題はないと思います。しかし、ほとんどの入試ではこの解答は正解になるはずですから、この説明では保護者が納得できないのも理解できます。
この場合、不正解にした理由を、学習する上での手順という視点で生徒・保護者に伝えてあげるとよかったのではないかと思います。
この解答だと、文構造や品詞を理解できた上で意訳をしたのか、意識せず単語をつなぎ合わせて日本語を作り上げたのかを判断することができません。
中学1年生の一般的なクラスであれば主語・述語の把握や品詞の理解が大切ですから、英文の主語・述語を和訳の際にも変えないで、「彼は優れた野球選手です。」と和訳するよう指導した方がいいと思います。
高校生における次の英文の和訳でも同じことが言えます。
The news that Tom got married to Lucy really surprised me.
高校1年生が、「トムとルーシーの結婚は私にとって本当に驚くべきニュースでした。」と和訳したら注意が必要です。更に複雑な英文になったら、単語の繋ぎ合わせでは正しい解釈ができなくなる可能性があるからです。
試験では、出題者の意図を汲み取って、出題者が求める解答作る必要があります。
特に小テストは授業内容の定着を確認するものなので、一般に認められている答えが正解とは限らないのです。
数学において、途中の式が大切であるように、特に初心者にとっては最終的な解答を答えればいいというものではないのです。
同様に、国語の漢字テストの答案を行書で書いたり、「門構え」を省略形で書いたり、記述問題の答案に同じという意味で「〃」を使ったりするのも、多くの小学校では解答として認めていないはずです。
英語学習者が都合よく実用性やネイティブスピーカー基準で判断することは、時に成長の妨げになるのです。
物事行う際には手順があります。英語学習もそれに基づいて行っていくことが大切です。