この単語の意味がわかりますか?

投稿:2024年9月16日塾長のブログ

突然ですが次の英単語の品詞と意味は何でしょう?

“copossessable”

「わかりません」と簡単にさじを投げた生徒もいる一方で、何とか手がかりを見つけて答えを出した生徒もいるはずです。

実は、これは私が作り上げた単語で、実際にはこのような英単語はありません。つまり皆さんにとって「未知の単語」なわけです。

未知語に出くわした時、諦めるしかない場合もありますが、様々な手がかりからその品詞や意味を推測できることもあるのです。中には大学側が推測によって答えを導くよう意図しているだろう問題さえあります。

未知語の品詞や意味を推測する手がかりとしては次のようなものがあります。

⑴前後の内容(コンテクスト)

⑵使われている位置

⑶接頭語[接頭辞]

⑷接尾語[接尾辞]

⑸音(音象徴)

大学入試において、受験生にとって未知であろう単語が設問に絡んでいる場合、実際には(1)や(2)による推測を求めているだろうことが多いので私も授業でその方法を教えますが、(3)や(4)についてもある程度の知識を持っておくといいでしょう。

(3)の中でよく知られたものとして次のものがあります。

●否定を表すir-、dis-、in―、im-、un-

irrational「理屈に合わない」、irregular「不規則の」、disagree「不賛成である」、dissatisfy「不満を抱かせる」、inaccurate「正確でない」、incomplete「不完全な」、imbalance「不均衡」、imperfect「不完全な」、uncertain「確信がない」、unfair「不公平な」

●「再び」を表すre―

rebirth「再生」relocation「再配置」reuse「再利用(する)」、remake「作り直す」、react「反応する」

●「共に」を表すco―

cooperate「協力する」、coexist「共存する」、coauthor「共著する」、cohabitation「同棲」、co-worker「仕事上の同僚」

そして(4)には次のようなものがあります。

●名詞になる―ness、―ty、―tion

awareness「自覚」、correctness「正確さ」、certainty「確実性」、safety「安全」、induction「誘発」、introduction「紹介」

●形容詞になる―ous、―able

advantageous「有利な」、marvelous「驚くべき」humorous「ユーモアのある」、continuous「継続的な」、reasonable「道理にかなった」、valuable「価値がある」

その中でも動詞に―ableがつくと、「―できる」という意味になります。

believable「信じられる」、countable「数えられる」、maintainable「維持できる」、changeable「変えられる」、dependable「頼りになる」、sustainable「持続(継続)できる」

それでは、最初の単語の意味を推測してみましょう。

copossessableは、①co②possess③ableに分解してみます。

①のco―は、「一緒に、共に」を表す接頭語[接頭辞]

②のpossessは、「所有する」という意味の動詞

③の―ableは先に述べた形容詞になる接尾語[接尾辞]で、更に動詞であるpossessの後ろについているので、「~できる」を表しているだろうと推測します。

「一緒に所有できる」⇒「『共有できる』という意味の形容詞だろう」という具合に推測できればいいと思います。そして形容詞ですから名詞を修飾しているか、be動詞やkeep、remainなどのCを取る動詞の後に使われているはずです。(形容詞の役割はブログ「品詞を意識しよう③」をご覧ください)

もちろん、どんな単語でもこのようにすれば品詞や意味を推測できるというわけではありませんが、引き出しは多い方がいいですよね。

蛇足になりますが、⑸について、言語学の世界では、音声と意味の結びつきは恣意的であるとされていますが、オノマトペ(擬声語、擬態語)や商品名においては、その意味を音象徴(ヒリヒリ、ペタペタという音が持つイメージ)によって推測することができることもあります。

まず受験生に大切なことは、未知語が設問に絡んでいた場合、その設問が単語の知識を問うているのか、未知語の推測を求めているのかを判断することです。そしてその判断には、自分の語彙力を認識していることと、その大学の入試問題研究が必要になるのです。

何はともあれ、日々においてできる限り多くの単語を覚えることが大切であることはいうまでもありません。